カラスウリは実が大きくなっても開花が続き、9月中頃まで花は見られますが、花弁が広がっているところを見た人は少ないと思います。不思議いっぱいの花で、夜にだけ特異な花を咲かせ、「ガ」をひきつけます。あたりが暗くなるとわずか10数分でレース状の花弁を広げます。朝にはしぼんでしまうため、夜7時以降の暗闇で観察するしかありません。大原野には何か所もカラスウリがありますが、今回は予めチェックしておいた善峰川支流の灰谷川に行き、橋の上から見下ろしてストロボ撮影しました。日が落ちると、ガが飛びはじめましたが、やみくもにシャッターを押しているとなんと吸蜜場面が撮れました。
「エビガラスズメ」というスズメガのようです。「夜に開花して、ガが吸蜜して花粉を運ぶ」という記述通りでした。連続写真は角度的にいまいちですが、開花の経過はわかると思います。(中川光博)
【臨時ニュース】傷ついたオオタカを救助(洛西ニュータウン)
報告:中川光博
7月12日(火)朝9時頃、中川1),2)宛に天野さん2)から「娘が出勤途中に洛西高島屋近くで傷ついて飛べない猛禽を見た」との連絡がありました。小雨の中とりあえず駆け付けると、歩道上に文字通り“尾羽打ち枯らした”体の大きな鳥がいました。嘴と足の爪が鋭く、こちらを睨んでいます。トビでないことはわかりましたが、種類不明につき急いで丹下さん1)に写真を送ったところ、オオタカ(京都府/環境省準絶滅危惧種)らしいとのこと。丹下さんと中川にて現場で処置を検討し、各方面に連絡したところ、最終的に京都林務事務所が捕獲して京都市動物園に移送してくれることになりました。それから、現場近くに住む吉野さん2)も加わり、待つこと1時間で京都林務事務所のお二人が駆けつけてくださいました。すぐに頑丈な手袋と大きな網で手際よく捕獲され、京都市動物園に無事搬送されました。発見から移送開始まで3時間ほどの出来事でした。その後、林務事務所からはオオタカにまちがいないとの連絡がありましたが、かなりの重症とみられます。何とか回復してくれることを祈るばかりです。
1)乙訓の自然を守る会・運営委員 2)西山自然保護ネットワーク会員
【観察記録】クロスジギンヤンマの羽化と飛翔
2022.4.30 小塩町 撮影:中川光博
上はクロスジギンヤンマの羽化連続写真です。こちらのポイントは背中が割れ始めるところ、目玉が抜けるところ、そして腹筋運動で自分の抜け殻につかまり尾部を抜くところです。この写真は計1.5時間の撮影ですが、逆さにぶら下がりはじめてから腹筋までは20〜30分かかっています。その後一瞬でつかまり尾部を3秒くらいで抜きます。
左の写真は、羽化したばかりのクロスジギンヤンマの飛翔。
下の写真はニホンカワトンボ(旧ヒガシカワトンボ)とアサヒナカワトンボ(旧ニシカワトンボ)の翅色ですが、両種は混棲することが多く、しかも翅色のバリエーション/組み合わせが地域によって様々ですので、図鑑を調べると余計にわからなくなります。そこで私自身が大原野で撮りためたこの2種のトンボの交尾写真を分析して(異種間交尾がないとの前提ではありますが)、添付資料のような翅色が存在することを確かめました。少なくとも京都南部はこのパターンでOKだと思います。なお、いずれのカワトンボもまず雌雄を見分けることが大切なのですが、♀はいずれも、羽根の前縁の斑紋が「白」、そして尾部が膨らんでいるので判別は容易です。また同じ場所にミヤマカワトンボも住んでいることがありますが、こちらはひと回り大きくて判別できます。繰り返しますが、これはあくまで京都南部・大原野のパターンです。
(報告:中川光博)
最初の黒っぽいチョウは「コツバメ」といいます。
よく見れば青紫色の光沢があります。食草はツツジ科で小塩山には結構沢山います。春のこの時期の1回しか羽化の時期がなく、山地性のチョウでまず農地や平地にはツツジがあっても居ません。この美しさと山地にしかいないレア度が人気の秘密で、私は蝶の森のコバノミツバツツジで本種が累代発生していることに気付き、毎年写真を撮りに来ています。
花やチョウで、春のこの時期にしか開花・羽化しない種を「スプリングエフェメラル・春の妖精」と言って珍重しますが、コツバメはギフチョウと同じくこの時期にしか羽化せず、来年の春まで幼虫・蛹で過ごす「スプリングエフェメラル」です。
ちなみに、レンゲやタンポポは春に咲きますが「スプリングエフェメラル」ではありません。草刈りをすると、季節外れでも咲いてしまいます。
真ん中は「キタキチョウ」 コツバメと異なり、成虫で越冬し年間数回羽化します。食草はマメ科です。私はカラスノエンドウとネムノキで産卵しているシーンを見た&写真はあります。コツバメの程のレア度はありません。
最後に、「ムラサキシジミ」です。キタキチョウと同様に成虫で越冬し、食草はアラカシです。雑木林の整備のためにはアラカシは伐採される運命ですが、このような美しいチョウが食草にしていることを思えばアラカシもある程度は残すべきでしょう。コツバメ同様、食草が「樹」の場合、葉ではなく新芽を食べる傾向があります。そう思えば、アラカシを伐採し、低くなったアラカシのひこばえはムラサキシジミの
産卵・生育に適していると言えるかもしれません。(報告:杉村)
上段左から、キジ(石見)、ケリ(灰方)、サンショウクイ(御陵の谷)、コマドリ(小塩山 南の谷)
下段左から、ウグイス(大山崎 桂川河川敷) 息を吸って胸毛を膨らませ「ホー」、吐きながら「ケキョ」、キビタキ(小塩山 南の谷)の行水、キビタキの風呂上り
春爛漫。ヤマザクラも咲きました。ウグイスが鳴いています。
新型コロナ対策で外出は自粛要請されていますが、密閉・密集・密接がなければ自宅周辺での散策、ジョギングなどは制限されていません。
そこで、散策コースとして、当会が日頃手入れしている「蝶の森」をおすすめします。
こんなときだからこそ、雑木林でリフレッシュしませんか?
これからは日に日に若葉が眩しくなります。
雑木林を、ゆっくりと散策して深呼吸すれば、気分爽快!
乙訓の自然を満喫できますよ。
写真は4月27日(月)午後。モチツツジ、シャガ、ツルキキョウ、ヤマザクラ、ナラガシワ若葉と花穂、放生池、蝶の森広場など。
【注意事項】
・散策は個人や家族等少人数にしましょう。友達同士やご近所誘い合わせての散策はご遠慮ください。
・公共交通を利用しての来訪はご遠慮ください。
・他の散策者との接触は避けましょう。十分な距離をおいて散策をお楽しみください。
・厚労省や京都府の新型コロナウイルス対策の指示に従ってください。
・緊急事態の発令等制限が強化された場合には閉鎖することがあります。ご了承ください。